新潟と東北
島津光夫 著
A5判/218ページ/上製/カバー付
定価3,300円(本体3,000円+税10%)/送料430円
ISBN4-8221-0200-9 C0021
2004年6月発行
新潟と東北日本海側は「裏日本」と呼ばれ、一方奥羽越列藩同盟のはてに、「白河以北一山百文」として東北地方とともに後進性をしいられた。新潟県を地理的環境、古代からの歴史の変遷、近代産業の発達などを通して、東北地方と比較考察する。あわせて、「県民性」にも言及する。
古代の東北は、蝦夷、安倍氏から奥州藤原氏と独自性を保っていたが、律令体制下、北陸道に入っていた越後は陰がうすかった。中世以降の越後は、越中より奥羽との結びつきが強くなり、最後は「奥羽越列藩同盟」にくみした。明治以降はともに有数の米作地帯で、金属・石油資源にも富んでいたが、凶作と水害に悩まされ、急激な殖産興業政策に取り残され、モノ、ヒト、カネの供給地にとどまった。それを脱却したのが豪雪地の山岳を利用した電力開発である。戦後の高度経済成長下では、新潟・福島・富山県は太平洋ベルト地帯の電力基地となった。新潟県と東北地方の今を、産業を通して探る。
【目 次】
序章 二つの郷里/地理的位置/いつ後進地の烙印を押されたか
第一章 新潟県と東北の自然環境
1気候と海峡/2地勢/3地震と津波
第二章 新潟と東北の歴史の断片>
1原始時代の東北日本/2古代の奥羽と越後/3中世の奥羽と越後/4近世の奥羽と越後
第三章 明治以降の新潟と東北
1明治・大正時代/2昭和・平成時代
第四章 新潟県と他県との産業の比較
新潟県と東北地方の農業/東北地方の畜産業/三陸沖と日本海の水産業/東北地方と新潟県の鉱業/新潟・富山県および東北地方の工業と電力
第五章 県民性とは
新潟県と東北六県出身者の著名人/浄土真宗と曹洞宗/藩学と学校教育/新潟方言(越後弁)と東北方言/県民性のいま
終章 むすびに代えて
参考文献・付表・索引
【著者紹介】
島津光夫 1926年、岩手県一関市で生まれる。1951年、東北大学理学部岩石鉱物鉱床学科を卒業。現在、新潟大学名誉教授、県立新潟女子短期大学名誉教授。
主な著書 『離島 佐渡』『新潟の石油・天然ガス』『新潟温泉風土記』『岩手の温泉を探る』『秋山郷の地学案内』