滅びゆく民俗文化

磯部定治
A5判/上製/美麗カバー付/236頁
定価 本体2,600円+税 /送料350円
ISBN4-8221-0208-4 C0039


かつて「雪害」「克雪」という言葉もなく、自然をあるがままに受け入れていたころ、人々の暮らしは豊かな民俗文化に彩られていた。正月からはじまる年中行事は春とともに農耕行事になり、節句、祭りがその間を彩る。著者は、人々の温かい感情に支えられていた時代の民俗文化を、哀惜を込めて語る。 「昔の人たちも、さまざまな信仰や祈願に端を発している行事習慣等を守りながらも、そうしたからといって必ずしもその効果があるとは、思っていなかったことだろう。それらをやることによって、自分たちが楽しんでいたと思われるものがたくさんある。小正月行事など、ばかばかしさを通り越して、むしろ愉快なものもあった。モグラ追いとかなり木責め、裸廻りなどがそのたぐいである。滅び去ったものを惜しみ懐かしむ声は確かにある。復活を願う声も聞く。しかし惜しんでみたところで、また、復活させてみたところで、往時のようには決してならないだろう。すでにそれらがあるべき時代は去っており、形だけ整えてみても、そこには信仰も祈願も伴っていないからである。」(「はしがき」より)



【目 次】

第一章 風変わりな行事習慣

1.一か月遅れの設定
2.九里四方を掻き取る
3.小正月の裸廻り・カラスの年取り
4.弓矢の祈り・鼻糞団子
5.「打ち壊し」で巡査も袋叩き
6.人間も脱皮・昼寝に線香
7.罪にならない十五夜泥棒
8.川にふた? 神様の年取り
9.信仰と娯楽は一緒
10.オコリ地蔵・芋神さま

第二章 仕事と祈願の哀歓

1.皐月ひと月泣く子が欲しや…
2.龍神怒らせ雨降らす
3.涙こぼれやくもち
4.カチカチ山の狸のようだ

第三章 いろり端の文化

1.お歯黒・チョンまげ・山着物
2.ドブロク造り・ムジナのつかみ捕り
3.縄まるけの「くず家」
4.二百年絶やさなかった火種
5.雷さまに鎌

第四章 消えてゆく伝承
1.多かった諺・言い草など
2.伝説・昔話の衰退
3.昔話の擬音語
4.雪の民俗文化も滅びる

第五章 熊狩りと鮭鱒漁の民俗
1.山では神様と同居
2.祭祀と呪文に明け暮れ
3.槍で熊に立ち向かう
4.鮭の明神
5.鱒の石汁

第六章 人生儀礼の変遷
1.失神の女房に「魂呼ばい」
2.婿殿はどの人か
3.最後の儀礼は野辺送り

第七章 わらべ唄・俗謡など
1.てまり歌
2.俗謡など


【著者紹介】

昭和6年 新潟県北魚沼郡小出町に生まれる/昭和27年 新潟県立小千谷高等学校小出分校卒業/同年 越南タイムズ社に入社/平成4年 同社を退社

著書:『魚野川物語』、『越後魚沼人の暮らしの足跡』、『鈴木牧之の生涯』、『ふるさとの伝説と奇談』上・下、『現代語訳 北越奇談』、『現代語訳 鈴木牧之の小説』ほか